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インターネットは民主主義の敵か。

インターネットは民主主義の敵かデイリーミーは、民主主義どころか人間社会そのものを破壊しつつある
 仕事上の必要があって手に取った。

 インターネットは民主主義の敵か、という邦題はかなり過激、というか一瞬ひるむ。それぞれの単語の住む世界が違うので俄かには理解できない。しかしインターネットをメディアと読みかえると納得がいく。要するに人々が情報を知るための手段と政治体制=権力に関する考察である。

 情報は常にフィルタリングされている。それは古来、権力が民衆に対して操作するフィルタであり、メディアは民衆の知る権利、表現の自由を高く掲げて、権力のフィルタリングと戦ってきた。インターネットの世界でも中国のGoogle規制問題のように権力のフィルタは存在している。しかしネット社会でのより大きな問題はそこではなく、個人が、自分の好きな情報だけ、知りたいことだけ、意見のあう人だけの情報をフィルリングして取り込むところにある。これを「デイリーミー」現象という。

 本書は2001年の考察だから10年も前のものだが、ネット社会のデイリーミー化は深刻化しているように思えてならない。デイリーミーは、肉体の触れあう距離にいる意見の異なるナマの人間(=例えば、親兄弟)よりも、ネットの向こうにいる意見のあう少数の仲間の中に自分の居場所を見つける。ネットジャンキーの病理はおそらく、デイリーミーが原因なのだと思い当たる。デイリーミーは、民主主義どころか人間社会そのものを破壊しつつあるように思えてならない。

 10年かかってもまだ一度も増刷されていないようだが、まず本書はネット社会を読み解くにあたっ...


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